台所用品-鍋の選び方
昔ながらのものから最新のものまで、種類が豊富なお鍋。お料理に合わせて上手に使い分けましょう。お鍋の選び方ひとつでおどろくほど簡単に調理できたり、お料理をグンとおいしく仕上げることができます。
素材別の特徴
長所 | 短所 | |
---|---|---|
アルミ | ○熱伝導率が高い ○軽量 |
○酸・アルカリに弱い |
鉄 | ○熱伝導率が高い | ○さびやすくて重い |
銅 | ○熱伝導率が高い ○熱伝導がムラなく均一 |
○酸に弱く、重い ○手入れが難しい ○高価な物が多い |
ステンレス | ○さびにくく耐久性に優れている ○保温性が高い ○光沢が美しい |
○熱伝導率が低い |
ホーロー(鉄) | ○酸・アルカリに強い ○保温性が高い ○外観がカラフル |
○衝撃や急激な温度差に弱い ○重い |
耐熱ガラス | ○酸・アルカリに強い ○におい移りがない ○保温性が高い ○見た目が美しく食卓でも使える |
○熱伝導率が低い ○汚れが落ちにくい ○衝撃に弱い |
土鍋 | ○保温性が高い ○食器のような味わいがある |
○熱伝導率が低い ○衝撃や急激な温度差に弱い |
鍋の種類
- 片手鍋
麺や野菜を茹でるのに最適。少なめの調理なら、両手鍋よりも手軽に使えて便利です。
用途:茹で物、味噌汁など - 両手鍋
片手鍋にくらべて安定感があります。容量も大きいので、料理を多めにつくる時などに使います。
用途:煮物、カレー、豚汁など - 雪平鍋
フタのない中程度の深さの片手鍋。軽く、熱伝導率の高いアルミ製が主流ですが、アルミはやわらかく、あまり強度がないという欠点があります。そこで、鍋の表面を凹凸状に打ち出すことによって強度を上げるとともに、表面積を増加させて熱伝導率を高めています。汁の注ぎ口が、左右両方に付いているものがほとんどです。鍋を使うほとんどの日本料理に対応する、一種の万能鍋と言えます。
用途::煮物、茹で物、だし取りなど - ミルクパン
少量の調理やあたためにとても重宝します。牛乳はもちろんのこと、少量のスープをあたためるのにもぴったりです。
用途:少量のあたため、ソースづくりなどに - 土鍋
食器のような味わいがあり、保温性が高いので鍋物などに最適です。土鍋を初めて使用する時は、7分目程度の水にご飯を入れて糊状になるまで炊ておくと、ご飯の粘性が膜をつくり、ヒビ割れやにおい移りを防ぐことができます。空焚きは厳禁。鍋が熱い時に水洗いするのも、割れる原因になるので避けましょう。ヒビが入ってしまった場合は、土鍋でお粥を炊くと、お粥が糊の役割を果たし補修できます。使用時は、土鍋の外底が乾いていることを確認してから火にかけましょう。使用後は、鍋の内側だけを洗うようにします。
用途:鍋物、炊飯など - 圧力鍋
水の沸点は100℃ですが、圧力鍋は密閉された蒸気が圧縮されて気圧が約2倍になり、 沸点が115~120℃前後まで上がります。通常より高い温度が得られるため、 調理時間が1/3~1/6程度に短縮され、光熱費の節約にもなります。また火を止めてもしばらくの間高温を保ち、特にかたい食材をやわらかくしたい時などに力を発揮します。熱に弱い栄養素を除き、ビタミン、ミネラルなどの損失も普通の鍋にくらべて少ないと言われ、上手に使いこなせば良いことづくしのお鍋と言えるでしょう。
用途::鍋物、炊飯など - 保温調理鍋
魔法びんと同じ高い保温力を持った、安全性に優れた調理器です。特にカレーやシチュー、豚汁やおでんなどの煮込み料理に最適で、保温の力じっくりと火を通していくので食材に味がよくしみ込み、煮崩れせずおいしく仕上げることができます。使い方は、加熱した調理鍋を保温容器に入れるだけ。保温中は火を使わないので、コンロにつきっきりの必要がないぶん時間にゆとりができ、こげつきの心配もありません。また電気も使わないので、光熱費の節約にもなります。
用途:カレー、シチュー、ロールキャベツ、おでん、豚汁など - 蒸し鍋
2段~3段のものが一般的で、最下段はふつうの大鍋としても使えます。上手に蒸すコツは、まず蒸し器の最下段に容器の2/3程度の水を入れ火にかけて沸騰させます。容器の中に十分な蒸気が上がったら、上の段に材料を一定の間隔をあけて均等に並べて入れましょう。肉まんなどの場合は、鍋底にくっつかないよう、レタスや濡れふきんを敷いて、その上に並べると良いでしょう。
用途:蒸し物、おこわなど
「ゆきひらなべ」の由来

かつては、お粥を炊くのに用いた深い土鍋のことを「ゆきひら」と呼んでいましたが、長い年月を経て、時代とともに変化しました。最も代表的な和風鍋である現在の「ゆきひらなべ」は、「雪平鍋」「行平鍋」とも書き、名前の由来にもいくつかの説があるようです。ひとつは、在原行平(ありわらのゆきひら)が、海女に海水から潮を汲ませて塩を焼いた故事にちなんだという「行平」説。その時用いた鍋に白い塩が現れてきて、それが雪のようだったという「雪平」説。また全く別の説では、鍋の打ち出し模様が雪のように見えるということで「雪平」の名がついたとも言われています。